「毎月の手取りだけでは、貯金がカツカツ…」
「レセプト時期は残業ばかりなのに、給料が上がらない」
明細を見て、ため息をついていませんか?
結論から言うと、医療事務の手取りは、働く場所の大きさと雇用の形で大きく変わります。
私が薬局で見てきた限り、事務さんの大変さは月末に集まります。ただ同じくらい、「場所が変われば変わる」とも思っています。
この記事では、給料から引かれるもの、上がりにくい理由、手取りを上げる3つの方法をまとめました。
医療事務の手取り相場はいくら?【正社員・パート・派遣】
まずは、雇用の形ごとに、給料の決まり方を見てみましょう。
正社員:額面から税金と社会保険料が引かれる
求人票に書かれている月給は「額面」です。ここから税金や社会保険料が引かれて、口座に振り込まれるのが「手取り」です。
給料から引かれるのは、主に次のものです。
・健康保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料
・所得税
・住民税(働き始めて2年目の6月ごろから)
1年目は住民税が引かれないため、2年目に手取りが減ったように感じることがあります。給料の明細で、額面と手取りの差を一度見てみてください。
パート・アルバイト:時給は地域の最低賃金が目安
時給は、地域の最低賃金に近い金額で募集されることが多い仕事です。2025年度の最低賃金は、全国の平均で1,121円、いちばん低い県でも1,023円です。応募する前に、住んでいる県の最低賃金と比べてみてください。
扶養の範囲で働くかどうかでも、働ける時間と手取りが変わります。
派遣:時給は高めでも、年収で比べる
総合病院や大きな医療法人への派遣は、パートより時給が高めの求人もあります。ただ、ボーナスが出ないことが多いので、月の手取りだけでなく、1年の合計で比べることが大切です。
隣で働いていた実感としては、「基本給」より「仕組みがあるかどうか」のほうが大きいと感じています。昇給の基準が決まっている職場では、入ったあとの伸び方がまるで違います。
なぜ医療事務の給料は「安すぎる」と言われるのか?
業務は専門的で忙しいにもかかわらず、なぜ医療事務の給料は上がりにくいのでしょうか。主な理由は3つあります。
① 診療報酬(国の公定価格)で医院の売上上限が決まっているから
一般的な企業であれば、商品を値上げしたり新サービスを開発したりして利益を増やし、社員の給料に還元できます。
しかし、医療機関の診療費は国が定めた「診療報酬点数」によって全国一律で決められています。医院側が勝手に単価を上げることができないため、人件費に回せる予算に限界があるのです。
② 「資格なし・未経験でも応募できる事務」として応募が集まりやすい
医療事務は女性に人気の職種であり、求人を出すと応募が集まりやすい傾向があります。
「特別な国家資格がなくても採用できる事務職」と見なされやすいため、初任給が低めに抑えられてしまう背景があります。
③ 個人クリニックは「明確な昇給制度」がないことが多い
院長が個人で経営している街のクリニックでは、大企業のような「勤続年数ごとの昇給テーブル」や「評価制度」が整っていないケースがほとんどです。
「5年真面目に働いているのに、基本給が月数千円しか上がっていない…」という悩みが起きるのはこのためです。
「給料が安すぎる!」と感じたときの3つの脱出法
手取りの低さから抜け出し、収入を増やすための現実的な方法は以下の3つです。
脱出法①:資格取得やレセプト点検スキルで「手当・昇給」を狙う(現職のまま)
今の職場の人間関係や勤務地が気に入っている場合は、医院内で評価を上げて手当を勝ち取るのが第一歩です。
- 医療事務関連の資格を取得する:医療事務検定試験(日本医療事務協会)、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)、医科医療事務管理士技能認定試験などがあります。資格手当が付く医院もあります。 ※長年最高峰とされてきた診療報酬請求事務能力認定試験は、2025年度の試験をもって終了しました。古い情報で選ばないよう注意してください。
- レセプト(点検・請求)の主担当になる: 返戻や査定を減らせるスキルを身につけ、「この人がいないと月末月初の業務が回らない」ポジションを確立して給与交渉を行います。
長く続いている事務さんに共通していたのは、分からないことをその場ですぐ聞くことと、メモを取って自分で見直すことでした。資格は取った時点で終わりではなく、そのあとの積み重ねで評価が変わっていくと感じています。
脱出法②:給与水準が高い「総合病院・大規模医療法人」へ転職する
最も手っ取り早く年収を上げる方法は、働く医療機関の規模を変えることです。
・個人クリニック:ボーナスが少なめだったり、決まった基準がなかったりする求人もある
・総合病院・大学病院・大きな医療法人:給料の表や昇給の基準が決まっていることが多い
医療事務の実務経験が1〜2年以上あれば、大きな病院へ即戦力として応募できる求人も見つかります。ただ、年収が上がるかどうかは、今の職場と応募先の条件で変わります。求人票を並べて比べてから決めるのがおすすめです。
脱出法③:医療事務の経験を活かして「他業種・関連職種」へ転職する
「医療事務という職種そのもの」に限界を感じているなら、医療事務で培ったスキルを活かせる他業界へのステップアップがおすすめです。
- 一般事務・営業事務: PCスキル・電話応対・請求書処理の経験がそのまま活かせます(一般企業の方が基本給や年間休日が多い傾向)。
- 調剤薬局事務: 処方箋の入力が中心の業務です。クリニックよりも業務負担が少なく給与が同等〜やや高い求人もあります。
- 医師事務作業補助者(医療クラーク): 医師の診断書作成などを代行する専門職で、医療事務より基本給や手当が高く設定されていることがあります。
年収アップを目指す職場選びのチェックポイント
次の職場で「また手取りが低くて後悔した…」とならないために、求人を見るときは以下の3点を必ず確認しましょう。
- 賞与(ボーナス)の前年実績
- 「賞与あり」と書かれていても、実際は年1ヶ月分未満のケースがあります。「年何ヶ月分(例:前年実績3.5ヶ月分)」と具体的に明記されているか確認しましょう。
- 基本給と固定残業代の内訳
- 月給20万円とあっても、「基本給16万円+固定残業代4万円(20時間分)」となっていると、基本給ベースで計算されるボーナスや退職金が少なくなります。
- 昇給実績と手当の有無
- 過去の昇給実績(年1回・〇千円〜)や、役職手当・レセプト手当が明記されている医院を選びましょう。
面接のときに「辞めた人が何人いるか」を聞いてみるのも手だと思います。人が長く残っている職場は、給与以外の部分も整っていることが多いからです。
まとめ:安すぎる給料を我慢し続ける必要はありません
医療事務は社会を支える大切な仕事ですが、何年も昇給しない環境に居続けると、生活の不安が消えません。
- 医療事務の手取りは、働く場所の大きさと雇用の形で変わる
- 個人クリニックでは大幅な昇給が見込めないことが多い
- 「資格手当」「大規模病院への転職」「他業種へのステップアップ」で手取りは増やせる
医療事務の経験があるあなたには、転職先やキャリアの選択肢が数多くあります。我慢して悩み続ける前に、自分のスキルを正当に評価してくれる職場を探してみましょう!
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